2017年4月現在の肩書は【株式会社ニッポン放送 ビジネス開発センターネクストビジネス戦略部副部長アナウンサー】!カルチャー情報サイト「yoppy」アイコン吉田尚記関連のあれこれをぎゅっと詰めました!

人工知能のことをガチで天才プログラマー/スーパークリエイター清水亮に聞く(全4回連載)その1:人工知能を使いこなせる人と使いこなせない人の差がこれから数万倍に広がる!?

今年は、3月に世界トップレベルの棋士として有名なイ・セドル九段が、ディープマインド社が開発した人工知能「アルファ碁(AlphaGo)」に敗戦を付すという歴史的なことから始まるなど、ディープラーニング・深層学習やニューラルネットワークが急速な進歩を続けています。

そんな最先端のIT分野でさまざまな実績を他社に先駆けて排出している方のひとり、株式会社UEI代表取締役社長兼CEOで人工知能開発の第一人者・清水亮氏が11月に「よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ」(KADOKAWA)という本を出版されました。そこでこれを機会にアナウンサー・吉田尚記が人工知能の真髄に迫るインタビューを敢行!!

今回を含めて4回に渡って連載してまいります。人工知能に興味のある方必読!!

清水亮プロフィール
株式会社UEI代表取締役社長兼CEO。株式会社ドワンゴ会長室第三課長を兼務。深層学習を中心とした人工知能の研究開発を専門とし、自らプログラミングも行う。2005年、情報処理推進機構より天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。

■人工知能の時代に普通の人はどう対処すればいいのか?

吉田:清水さんにわざわざ来ていただきました。改めて清水さんが何者かを説明するのにますますわからなくなってきたんです。

清水:いやもう、今は一言で人工知能の専門家でいいと思います。

吉田:前のこと全部すっ飛ばしちゃってるじゃないですか。

清水:でもこれは僕なりの解釈で、正しい、スッキリしてよかった(笑)。

吉田:いままでやってきたことは全部人工知能につながっていたんだと・・・。じつは「よくわかる人工知能」という本を最近だされて、僕kindleで買いましたけど・・・

清水:ありがとうございます。

吉田:正直、これを書いていい時代なんだって・・・気がしました。

清水:そうです、同じ内容の本を3年前に出したら、受け入れられなかったと思います。

吉田:でも、清水さんは言っていることは変わらない・・・かわんないんだけど、人工知能っていう言葉で、いろんなことが着地したというか・・・。

清水:着地させていいタイミングがやってきたんです・・・。

吉田:もともと人工知能はあったんだけど、言葉自体・・・。普通の人に人工知能っていうのが、おぼろげなから伝わってきたので、この本のタイトルで良くなったんだと思うんです。清水さんはもともと、天才的なプログラマーですよ。

清水:まあ、そう言われたこともあります笑。

吉田:あえて言っておきましょう!だいたい本当のところがつかめたと思うんで。特に得意なのはグラフィックとゲームですか?

清水:そうです、もともとはゲームグラフィックスです。

吉田:そして、いまは起業されて株式会社UEIの社長をなさっている・・・。さらにこのUEIでは学校もやっていて・・・

清水:プログラミング教室ですね。

秋葉原プログラミング教室
http://www.akiba-programming-school.com/

吉田:大人も教えて、そもそも僕もおじゃましたことあります。人工知能のディープラーニング用のワークステーションを出荷するとともに、すぐに使えるようにコンピュータを買った方々に使い方を教えてくれるセミナーの先生もやられている。

さらには、小中学生はプログラミングを学ばねばならないと、必修科目になる以前からおっしゃってて、その小中学生向けのプログラミング教室にうちの娘も通っています。

清水:ありがとうございます!!

吉田:親子で清水さんに習っているわけです。そういうことやっていると、プログラマーで、経営者で、さらに教育者である。という清水さんがやっていることは、どうやら全部人工知能とつながっていた。そいういうところからこの本(よく分かる人工知能)は始まっています。

清水:そうですね。自己紹介のところに書いてます。

吉田:どこからときほぐせばいいかと思っていたんですが、読めばわかります。普通の人でもある程度は。カタカナ苦手じゃなければ。

清水:けっこう横文字が多いっていうクレームが多方面からあります。

吉田:でも横文字でまるごと覚えちゃったほうがよっぽど楽ですよね。

清水:楽ですね、それを日本語になるとより難しくなる。

吉田:ということで今日聞きたいことが2つあります。

ひとつが、もう人工知能時代が来るとか来ないとかで言えば、来るに決まっている。普通の人はどうしたらいいかと思う・・・研究者の人はばぁ~って突っ走っている中、あんまり普通の人に一応の指針みたいなものすらまだ出ていない・・・。なので(来るべき人工知能時代に向けて)普通の人はどう対処すればいいのか。これが一つ目。

もうひとつは、これを突き詰めちゃっている先のトップランナーたちが、次に何が起きると考えているのか・・・。この2つです。この本は、いい意味でその途中で終わっていますよね。

清水:そうです。僕もいい意味で途中で終わらせようとしているんです。

■原始的な人工知能はいま目の前にあるが、使いこなせる人は少ない・・・

吉田:(この本を読むと)どうやらこの先の話があるぞと。ではまずここ10年以内に絶対に人工知能が現れるとして、そのときまでにどうしておけばいいのか。それを清水さんが、普通の主婦の商店街でお買い物しているおばちゃんに、人工知能とどうつきあえばいいかを伝えるとすればどうなりますか?

清水:いくつか話のポイントがあるんですが、今から10年以内に人工知能が現れるか・・・という話では、実はもうかれこれ100年前からいたって考えたほうがわかりやすいんです。

突然新しい人工知能がパーンって出てくるというよりかは、スマートフォンというのが原始的な人工知能だって考えるのがわかりやすいと思います。

吉田:スマートフォンは確かに僕らが自分ではできないことを、というかやろうと思うとめちゃくちゃ手間がかかることをワンタッチでできたりするもの。

清水:例えば、よくわかんない言葉があったときに、Siriに聞けばすぐにウィキペディアで調べて答えてくれる。

Apple siri website
http://www.apple.com/jp/ios/siri/

これがひとつ原始的なバージョンの人工知能なんです。と考えれば、結局10年経ってそれが超と呼べるくらい進化したとしても、基本的にはスマートフォンが家庭にあるみたいなことと変わらないと思うんです。

吉田:それこそ、Androidという名前がOSについているくらいで、昔の人間、50年代のSF世代以降のほぼ全人類は、Androidといえばこういうもんだと共通イメージがあり、そこにどんどん現実が近づいていっているみたいな。

清水:そうそう。スター・ウォーズとか見ていればわかるように、ロボットと人間ということで、機械の知性に人間がどう関わればいいのかという課題を、昔から沢山の人達が想像していろいろな物語を作りだしてきていて・・・そんなにそのイメージとずれてはいないと思うんです。

吉田:ところで、いま思ったのが「よく分かる人工知能」は白地に青文字、これって「ドラえもん」じゃないですか!?

清水:R2D2の色でもあるんですよ。

R2D2
http://www.starwars.jp/wiki/ファイル:R2-D2.jpg

吉田:それは意図していたんですか?

清水:意図してやりました。

吉田:かなり人間と関わる人工知能の色はこういうことなんだと。

清水:だけど青って落ち着くんですよ。安定色の青が知性の高さを表現するんじゃないかという意図があって青にしたんです。

吉田:青に対する人間の感性って、普通に考えて、空や海からもたらされるんでしょうね。ま、その辺の話はきりがないので、人工知能に話を戻すと、人工知能自体はさっきの話だと「ある」と。

清水:そう、原始的な人工知能はいま目の前にある。ただ使いこなせる人はすごく少ないです、まだ。

吉田:スマートフォンってそれこそ、人類が月に行けたときのコンピュータの何百倍の性能にもなっているけど、スマートフォンで月に行けた話は聞かない。

清水:行こうとも思わないけどね。つまりコンピュータの能力だけではだめで、使いこなす側の人間の能力も必要だし、エネルギーも必要。で、いままではコンピュータを使いこなすっていうのが、実は人間界で相当このひと使いこなしてるよねって言われた人でも、せいぜいEXCELがすごくできるとか、WORDがすごくできるとかの程度です。

吉田:そうだ。パソコンできるというレベルのハードルはすごい低いですよね。

清水:でも僕らからすると、プログラマー以外って何一つ使いこなしていないように見えるわけです。

例えば簡単なもの、写真をより分けて、全部jpeg形式の何x何の大きさに変えるみたいなのをコンピュータでやろうと思ったときに、普通の人だったらまず「ググる」でしょう。でもググったときにプログラマーじゃない人の場合は、その結果からなんとかPhotoshopとかExcelとかでそういう機能がないか探すんだけど、でも結果そんな都合の良い機能はないから、諦めるじゃないですか。

でもプログラマーは、選択肢がものすごく広くて、もう出来ないことがあるわけないと思っているので、最悪の事態は、そのすべてを自分でプログラムするときで、最悪それでもできると思っているので、あとはいかに楽してやれるかを検索しているんです。

すると、同じ検索でも、普通の人とプログラマーではぜんぜん出てくる答えも違うし、方向も違ってて、あっという間にこの中からこれを探すみたいなことをやる。そういうふうに、プログラミングができるか出来ないかでコンピュータの使い方は全然違ってくる。

吉田:いま本当にそのレベルのニーズが日々発生していてるんだけど、みんなあきらめて検索しているとか、すんごい残業してたりとかするんですが、いままさに僕くらいのレベルでも、ちょこっと勉強すると便利になる(プログラミング)言語とかあるんですか?

清水:Pythonですね。Pythonは超便利です。

吉田:Pythonで画像のリサイズができるライブラリとか探してきたら・・・。

清水:もうライブラリというレベルではなくても基本機能にあるんです。画像をリサイズして保存するだけだったら、10行以内で書けるかな。ほぼどんなものでも。

吉田:それって検索しているくらいだったら自分でファイル作ったほうが早いですよね。

清水:そうです、全然簡単。僕はそういうの「瞬間プログラミング」と呼んでて、必要なときに必要なものを必要なだけ作るということ、これってApp Store‎から自分が欲しい特定のアプリを探すのと、自分でプログラムを作るんだったらどっちが早いかって話でしかないんですよ。

吉田:しかもそれをウェブに上げておいたりすれば、それで十分って人がいっぱい出てくる。

清水:そうです。なので次から大人のためのプログラミング講座はPythonでやろうと思うくらい便利。吉田さんはchainer(人工知能プログラミングのフレームワークのひとつ)やったとき、少しPython触ったと思うんですが、あれはやっぱ。Pythonが何より簡単だからで、誰が書いても同じになりやすいし、とにかくややこしいことがすぐにできる。

吉田:しかも動作も早い?

清水:そこまで早くはないが、遅くもない。そんな感じ。

■数万倍の差が出る前に、AIプログラミングを学びましょう。

 

吉田:それで、人工知能でできることがものすごく増えてくるなか、もうこっちは使いこなしなんか意識しなくていいってことなんですか?

清水:いや、その中でも使いこなせる人と使いこなせない人が絶対出てくる。結局人工知能が例えばドラえもんみたいにあれをこうしてくれと言って、やってくれるかというとそういう確率はとても低いんです。

吉田:それなんですよ。僕は人工知能って、日本人はドラえもんを作りに行くんだろうと思うんです。わかりやすくいえば。

清水:でもドラえもんって、意外と言うこと聞かないでしょ?

吉田:そうなんです。それと同じことが人工知能にも起きる?

清水:どんどん起きる。

吉田:ドラえもんは、わかりやすい人工知能らしい人工知能の可能性がありますけどね。

清水:そうですね、都合が悪いとかで、こういう道具を出してくれと言ったらそれっぽいのを探してくれる・・・そこまでならいまでもiPhoneとかでできますよね。でも、じゃあそれを使いこなすのは人間の側、のび太くんの側だから、のび太って相当ドラえもんの道具を使いこなしているんですよ。

吉田:のび太は使いこなせているほう?

清水:ドラえもんを、じゃなくて、ドラえもんの道具を使いこなしている。それはどういう意味かというと、設計者の意図を超えた使い方ができるということなんです。

吉田:なるほど、それで毎回毎回、PL法の範囲を超えてしまうようなことがおきる笑・・・のび太とPL法ってしょうもないテーマですけどありえますね。

清水:でもそれがのび太の魅力でもあるんですよ。

吉田:PL法ガン無視の人(笑)。

清水:まんまそれ使ったら物語になんないので、ちょっと悪用するとか、いたずらするとかにガンガン使えるのがのび太の才能だと思うんです。

一方同じことをスネ夫とかにやらせても、そういう悪いことって思いつかなそうじゃないですか。スネ夫ってラジコンとかいっぱい機械持ってるけど、想定の範囲内の遊び方しかしないんです。で、それはそれでありなんだけど、やっぱ使いこなせる人と使いこなせない人の差っていうのが、いままでよりもはるかに広がるだろうなと僕は思っているんです。

吉田:使いこなせない人と使える人で、受けられる益(受益)が全然変わってきちゃうってことですね。

清水:いままでも違ったんですけど。

吉田:まあ、いまでもスマートフォンひとつとっても、そこから引き出し方が人によって全然違いますからね。

清水:それが(人工知能時代に入ると)数万倍の差になってくると思うんです。

吉田:さっきのコンピュータプログラマーと普通の人では、パソコンが目の前に1台あったときに、パソコンでできることに何万倍もの差が出てくるっていうことですね。

清水:いまでも違うんだけど、それが何万倍にも差が広がると思っているんです。

吉田:だからもうプログラミング教育だけでは遅いかもしれない、AIプログラミング講座のほうがいいんじゃないかってこと・・・?

清水:必要なんじゃないかと思い始めたわけです。(その2に続く)

「よくわかる人工知能 ~ 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ」
2016/10/17発刊 KADOKAWA ASCII (1836円)
https://www.amazon.co.jp/dp/4048922335

株式会社UEI
http://www.uei.co.jp/

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