1月22日金曜日朝にフジテレビで開催されたモーニングセミナー。
講師を吉田尚記が務めました。
題して、吉田尚記が語る「現代オタクの作法とタブー」。
コンテンツを作る「中の人たち」に向け、彼が語る今。
その模様を「yoppy」独占・連載でお届けします。
2回目の今日は、「ドルファン」と「アニヲタ」の違いの先にあるものは・・・・・というお話。
※講演の一部を記事にしております。全部を聴きたい方はページ下動画にて、配信中。
アニメファンは熱量!アイドルファンは育成愛!
アイドルファンとアニメファンの間で、対象に対する時の作法がだいぶ変わってきてるんですね。アイドルファンの場合は、来年アイドルが同じ状態であることってあんまりないんですよ。移り変わっていくんですね。
来年になったら、新しいアイドルが出てくる。つまり、その女の子自体も、どんどん10代だから変化していくし、新しいアイドルも次々出てくる。
それに対して、アニメファンというのは、一回アニメという成立した世界であれば、もうキャラクターが変わらないわけですよね。
かなり、アイドルとアニメは、愛し方が違います。
どう違うかというと、中にいる人たちが、当然お互いに作品とかアイドルの評判をやりとりするんですけど、やり取りする時の「言葉の有り様」がだいぶ違うんですね。
アニメファンの人たちというのは、このキャラクターのここが好きだ!というのを「自分の熱量」を言うわけですよ。
これぐらい好きだって話をする。
それに対して、アイドルファンっていうのは、「すごく流通性を意識している」というか、何か誰かを褒める時に、自分が面白い褒め方をしたい!と思ってるんですね。
アニメの場合は、このキャラクターを面白く褒めようって気持ちは多分無いんですよ。
いかに素晴らしいかっていうのは、自分の態度で示す、みたいな。
(好きなキャラクターの)設定上の誕生日の日に、大量のキャラクターグッズを集めて、その真ん中にでっかいケーキを発注して(置いて)、(そのシーンの写真を)自分で撮ったものをネットにアップする、みたいな。
で、それが「やらおん!」に載れば勝ちみたいな、そういう愛し方をするのに対して、アイドルファンでそれをやってる人はそんなにいないんですよね。
アイドル本人の所にいってそういうことをするし、あの子ってああいうキャラクターだよねっていうのをアイドルファンどおしでやりとりをして、そこで面白いなってなった子が、すいすいと(人気が)上がっていくみたいな状態になってまして。
「花とアリス殺人事件」にみる「差」
こういう差があるから、(その差を)去年面白い使い方をしている作品があったなって突然思い出しまして、「花とアリス殺人事件」ってご覧になった方いらっしゃいますか?
鈴木杏さんと蒼井優ちゃんがもともと「花とアリス」って作品をもう十数年前に作って(演じて)、これはドルヲタの笹沼さんという作家さんと当時見て話した時に、「やばいことが起きた」と。蒼井優(アリス)が鼻をおさえてごめんなさいって言った瞬間に、あれだ!って話をしてて、この辺の「あれだ!」って言い方がかなり、アイドルファンの言説です、これ。これがアニメファンの言説ではないってわかりますかね?わかんないかな(笑)アイドルファンの言説を具体的に言うと、そんな感じです。
で、この時の感じが、ものすごく素晴らしいなぁって言う風に思ったんですけど。
そこから十数年して、あれ(映画)を撮った岩井俊二監督が、アニメで「花とアリス殺人事件」を撮ったじゃないですか。
何がすごいかっていうと、たぶん、岩井俊二監督、そして作品を支持した人たちは「(映画の)あの関係性とか世界が素晴らしい」って絶対に思ったはずなんですね。
素晴らしいと思って、また見たいと思って、でもただ十数年経ってしまいました。
10代だったお二人も、アラサーとかになってるわけじゃないですか。
でも、もう一回やりたいってたぶん思ったんですよね。
でも、当然、実写でやってしまったら、お二人が女子高生やってるのって相当不自然な状態になるとなった時に、手法として、「じゃあ、アニメでやったらどうだろう」って思った時に、僕らアニメの作品として、お二人が声をあててるのを見ると、僕らリアルに(お二人を)女子高生として見えるわけですよね。
あれで、たぶんそういうことが行われて、ああいう作品になったんですけど。
逆に言うと、ここでややこしい話になるんですが、アニメファンって「殉じて欲しい」人たちなんですよ。
自分たちがやってることに100%付き合って欲しいって気持ちがあるので、(花とアリスは)もともと実写版からスタートした作品っていうルーツがあるので、そのルーツからこっち(アニメ)に一回来ているものっていうものをわざわざ愛そうと思っても、ちょっと異教徒に見えるっていう状態で。
そもそも面白いじゃんって、割とフラットにカルチャー的に見ている人から見ると、「花とアリス殺人事件」はすごく面白く見られたんでしょうけど、基本的にアニメファンの間で「花とアリス殺人事件」の話をしてる人はいなかった、みたいなことがですね、起きてるんですよ(笑)
これ、どうしよう(笑)
あまりにも感覚的なことすぎて、共感をもってしか語れないんですけど、誰にも共感してもらえてないなって感じを今味わいながら喋ってます(笑)