年間約500冊の漫画を購入する生活を20年以上続ける“マンガマニア”で、“マンガ大賞”の発起人でもあるニッポン放送アナウンサー吉田尚記が毎週1冊オススメの漫画を紹介する「講談社presents 吉田尚記のコミパラ!」
吉田:この「講談社presents 吉田尚記のコミパラ!」のコーナーは、この4月からも
継続することが決まりまして!もしかしたら、毎週10分くらい野球ではなく、
漫画の話だけすることにー…。
里崎:ご好評につき! いやー、有難いですね!
――と、まずは、この「講談社presents 吉田尚記のコミパラ!」が4月以降も継続するというお知らせもあった第23回目にご紹介したのは、『週刊少年マガジン』にて、好評連載中のファンタジー漫画「不滅のあなたへ」(著:大今良時)。
吉田:里崎さんが欠かさず読んでいるという『週刊少年マガジン』に連載している作品を
ご紹介したくて。これがですねー…。
里崎:知ってますよ、それ! 読んでますもん!
吉田:『不滅のあなたへ』という作品なんですけど。これ、大今良時さんって方の作品なんですけど、
これ、漫画好きで色んなことが把握出来ている人は、今、物凄い乗っかってます!
何故かというと、この大今良時さんって方が今、全漫画家さんの中でも
一番脂が乗っている人の一人なんです!
里崎:そうなんですか!? 野球界の筒香選手みたいな感じですね!
吉田:あ!でも、そうかもしれない!筒香選手って言っても良いかもしれません!
どういうことかというと、まず、今の作品、この『不滅のあなたへ』という作品を
見て頂くと、絵のレベルが異常に高いんですよ!動物も人間の男の子も女の子も時代物も
現代物も、今、こんなに魅力的に描ける漫画家さんはいないんですよ。
里崎:あと目がね、目力ある人は目力あるし、目が優しい人もいるし、目の訴え方が良いですね。
吉田:目と表情は本当に凄くて、何が凄いかというと普通の漫画家さん、漫画っていうのは、
絵と言葉の両方で出来ているんですけど、大今さんの漫画って、もちろんいっぱい文字が
出てきて、綺麗に説明してくれているページもあるんですけど。例えば、この辺とか、一番初め、
一人のよく分からない謎の存在が少年に狼の姿で出会う謎めいた感じのストーリーなんですけど。
その狼と出会って少年が色々とドラマを抱えて、誰とも会わないで生活している姿を
ほぼセリフなしで、5ページ続いて、何が起きてるか分かっちゃうんですよ。
里崎:表情とその顔一つ、目一つのタッチで言葉を発してますよね。絵だけで。
吉田:そうなんです。だから、物凄い絵力があるんですよ。この絵力のある大今良時さんは、
いくらなんでもデビュー直後でこういう実力ってなかなか付かない訳ですよ。
いくら、筒香選手が才能あっても、横浜高校を出た瞬間に4番になった訳じゃない。
里崎:いや、まだまだ下積みですよ。
吉田:ですよね。その下積みを抱えて、今もう、日本の4番としてパカパカ打っている
訳じゃないですか。
今回、ご紹介する『不滅のあなたへ』という作品は、姿をあらゆるものに変化させられる“球”が何者かによって、この地上に投げ入れられたところから物語が始まる。その“球”は、最初、石ころに、次に狼に、そして、少年へと姿を変えながら、目的のない永遠の旅を続ける。死すら乗り越えるその不死身の“球”は、様々な人と出会い、暖かさや痛み、喜び、哀しみなど様々なことを学んでいく――。
そんな壮大なファンタジー漫画を連載している大今良時先生は、昨年、大ヒットしたあのアニメ映画の原作となる漫画を連載していたことを吉田アナウンサーは語る。
吉田:実は、この大今良時さんって方は、一番初めに大ヒット小説家の冲方丁さんと組んで、
『マルドゥック・スクランブル』という代表作を全7巻で描きました。これも大変面白かった。
そして、ついこの間まで、『聲の形』っていう漫画、聞いたことあります?
里崎:あります!
吉田:これ、聴覚障害のある方を―…。だから、聴覚障害のある方ですよ。これもつまりは、
上手く言葉を発せない、上手く言葉を受け取ることが出来ない人を中心キャラクターに
据えて、もう一人の男の子が主人公だったりするんですけど、そのキャラクターの
表情だけで、泣けたストーリーだったんですよ。その泣けたストーリーを描いて、
その『聲の形』が20億円を超える大ヒットアニメ映画になっているんですよ。
これは、完全に一番初めの大今さんの絵がなければなかったこと。大ヒット描きました!
漫画自体も大ヒットしてます!もう漫画家さんとして何やっても良い状態!
そして、書き始めたのがこの『不滅のあなたへ』。ここで、もちろん、その前の『聲の形』は、
現代を舞台にして、“いじめ”とかもちょっとテーマになった作品だったんですけども、
(今回は)大ファンタジーなんですよ!これを読んだときにある作品を連想しまして、
手塚治虫先生の『火の鳥』って聞いたことあります?
里崎:はい、あります!
吉田:ありますよね。読んだことあります?
里崎:あります!
吉田:『火の鳥』って、人間とか、人間を超えて、生命があるとはどういうことか?みたいな
物語ですよね。
里崎:深いですよね。
吉田:『不滅のあなたへ』、
もしかしたら、大今良時さんは、『火の鳥』を描こうとしているのではないだろうか。
さっきも言いましたけど、僕、2巻まで読んだんですけど、大ドラマが展開しまくっているんですけど、
その中心となる存在の“生命体”と言っても良いのか分からないような謎の存在が
どうも一つ一つのキャラクターの生き死にに物凄く毎回、毎回関わって来るでしょ?
これで、鬱蒼とした自然の中で人間が、東洋とも西洋ともつかないところで暮らしている姿をわざわざ、
あんなに現代が綺麗に描ける人が描いているのは、筒香選手が4番を打っているときに、
今だからこそ出来ることっていって、WBCで4番ガンガン打っている訳じゃないですか。
漫画家さんって週刊ペースであれだけの絵を描くって物凄い作業なんで、基本、
体力があるときじゃないと、若いときじゃないと
本当に凄いものは描けないという考え方もあるんですよ。
里崎:確かに。
吉田:大今さんは、今、自分がそうだと判断して、もしかしたら、作家人生で一番凄いものを
描こうとしているんじゃないかという迫力に、この作品メチャクチャ溢れていて。
1巻は謎めきが多いです。
1巻の最後に凄い印象的なちっちゃな女の子と若い女性の2人組が出てきますよね。
里崎:出てきます。
吉田:この人たちがメインの凄いストーリーが進むのかな?とー…。
里崎:いや、思いましたね!
吉田:思いましたよね? 2巻、ああなりますよね!?
里崎:ああなります! あれ?みたいな。
吉田:でしょ!
里崎:こいつら主役じゃないんだ!?みたいなね。
吉田:そうなんです!でも、これって実は、『火の鳥』も火の鳥がずっと出続けていたじゃないですか。
出続けていたんだけど、火の鳥によって生活が変わってしまう、
人生が変わってしまう人たちは、○○の章、××の章って全部違ったじゃないですか!?
里崎:違いますね。
吉田:どうも『不滅のあなたへ』、その匂いがするんですよ!僕は当然、世代的に41歳だと
『火の鳥』は完結しているというか、ほぼ出来上がったところしか読んでない。
リアルタイムで読めてないんですよ。大今良時さんの絵って多分、
本当に現代の漫画家さんが描けるほぼマックスまで辿り着いている人が、
もしかしたら、今、このリアルタイムで『火の鳥』を描いているところを
僕ら『マガジン』で読めているのかもしれないんですよ!
これが大名作になるか、それとも最終的には、本当に難しいことを扱おうとしているから、
ちょっと難しく分からなかったってなるのか分からない分水嶺を
リアルタイムで止めることがどれだけ感動的か!!
吉田アナウンサーも「読むなら、今のやつ!リアルタイムで読め!」と豪語する『週刊少年マガジン』にて、好評連載中の漫画「不滅のあなたへ」(著:大今良時)。
後世に語り継がれる名作になることを予感させるファンタジー作品となっている。
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吉田尚記のコミパラ! | ニッポン放送 | 2017年3月17日(金)
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