現在、大ヒット公開中の劇場版『牙狼<GARO> -DIVINE FLAME-』。さまざまなイベント上映が行われる中、今回はクリエイターたちによるスペシャル・トークイベントの模様をご紹介します。
出席したのは、林祐一郎監督、脚本・小林靖子さん、演出・朴性厚さん、久保亨プロデューサー。劇場版『牙狼<GARO> -DIVINE FLAME-』をあらゆる方向から語ることができるスペシャルメンバーに、司会の八雲ふみねが裏話をアレコレ伺いました。
この日のイベントは、泣く泣くカットせざるを得なかったシーンの未公開絵コンテを見ながら、クリエイターの皆さんに作品を振り返っていただくというもの。
すると、次から次へと意外な事実が明らかに。
そのいくつかをご紹介すると…。
謎の黒ローブ集団には、れっきとした名前が存在した!
ロベルト(声:富田美憂さん)が誘拐され、アルフォンソ(声:野村勝人さん)がロベルトを救おうと追いかけるシーン。
ガイアは追撃してくる黒ローブにマスク姿の兵たちと戦います。
すると林監督が「この黒ローブの兵は“アポストルフ”と言うんですけど、パンフレットにも名前が出てないんですよね」と、衝撃の告白。
脚本を担当した小林さんでさえも「いま初めて聞きました!」と、驚きの様子。
「僕が絵コンテ描いてるときに勝手に名付けたんですよ」と、笑顔で話す林監督によると、アポストルフ(=黒ローブ)は、ダリオ(声:萩原聖人さん)に操られている魔道具。
顔の皮は剥がされていて、そのためマスクを着用しているんですって。
こうしてお話を伺うと、意外な裏設定があるものですね。
エマの空中戦シーン、元ネタは???
イベントでは絵コンテだけでなく、原画をアニメーションの動きに乗せた貴重な原撮動画も公開。
担当した朴さんによると「このシーンのイメージは『スパイダーマン』。エマ(声:朴璐美さん)の動きをカメラがワンカットで追いかけていく感じを作りたかったんです」とのこと。
ハリウッドをも唸らせるテクニックが、こんなところで使われていたんですね。
ほんの数秒ではありましたが、原画の状態でも臨場感あふれる映像に、客席からは感嘆の声がこぼれました。
鎧を着るか脱ぐか、それが問題だ…。
スクリーンに大きく映し出された絵コンテによると、ロベルトを救出する時、アルフォンソはガイアの鎧を解除しています。
「これはどういった意味があるんですか?」という久保プロデューサーの問いに、「アルフォンソにとって、第一の使命はロベルト救出。人間は鎧がかすっただけでも傷ついてしまうので、彼の身の安全のために解除したんです」と、林監督が説明。
またヘルマン(声:堀内賢雄さん)とダリオが殴り合うシーンについて、こちらもやはり絵コンテでは鎧を着用したままで肉弾戦を繰り広げています。
でも完成した本編では、鎧を解除したシーンとなっていますが…。
「元々、絵コンテの段階では鎧のまま殴り合う予定だったんです。その方が牙狼のアツイ世界観が伝わるかと思って…」と、林監督。
「でも予算の都合で、他の戦闘シーンをカットするか鎧を脱ぐか、究極の選択に迫られたんですよ」と、これまた予想外のエピソードが。
久保プロデューサーも「製作サイドでは、他の戦闘シーンをカットしようと考えていたんです。でも、朴さんがすでに鎧を脱いだ絵を描き始めてました」と、当時を振り返ります。
左から、林祐一郎監督、小林靖子さん、朴性厚さん、久保亨プロデューサー。
お話を聞けば聞くほど、数々のドラマがあったことが推察される制作現場。
「最初の絵コンテの段階で、上映時間が85分ほどになることが想像出来たんですけど、70分台に収めることが課題でした。だからどのシーンをカットするかは、本当に悩むところだった」と、林監督。
「一度はテレビシリーズ(炎の刻印)で完結しているシリーズ。その劇場版ということで、テレビシリーズの余韻を残しながらファンの皆さんにどう楽しんでもらうかが、脚本を書くうえでいちばん注力した部分」と、小林さん。
今回初披露された未公開絵コンテのシーンが盛り込まれていたら、どんな劇場版『牙狼<GARO> -DIVINE FLAME-』になっていたのか…。
それも気になるトコロではありますが、すでに映画をご覧になっている方もこのイベントでの裏話を元に再度ご覧いただくと、新たな発見があるコト、間違いなしですよ。
劇場版『牙狼<GARO> -DIVINE FLAME-』は現在、大ヒット公開中です。
【取材・文:八雲ふみね http://yakumox.com/ 】
劇場版『牙狼<GARO> -DIVINE FLAME-』
原作:雨宮慶太
監督:林祐一郎
声の出演:浪川大輔、堀内賢雄、朴璐美、野村勝人、富田美憂、小宮有紗、萩原聖人 ほか
©2016「DIVINE FLAME」雨宮慶太/東北新社
公式サイト http://garo-divineflame.jp/