毎週月曜~木曜24時から放送中のラジオ番組「ニッポン放送 ミュ~コミ+プラス」から、12月12日(月)深夜放送分の、パーソナリティ吉田尚記と月曜アシスタント松井玲奈と、ゲストの樋口真嗣監督のトークを書き起こしでお届けします!
吉田:ミュ~コミ+プラス!!
松井:2016年の話題の人が総登場!2016全全全部まとめ!!
吉田:始まりました、ミュ~コミ+プラス。こちら対策本部です。ニッポン放送アナウンサーで本日を以って41歳になりました。新・吉田尚記です笑。そしてアシスタントは、なんと金髪ボブになって、やはりこの方も進化がみられるこの方・・・。
松井:月曜アシスタントの松井玲奈です。よろしくおねがいします。
吉田:それではさっそくスペシャルウィーク初日に来てくださったのはこの方!!
松井:映画「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督!!
<ゴジラの雄叫び!!>
吉田:今最強の特撮怪獣映画、7月末に公開されてまたたくまに物凄いヒットで、観客動員数11月11日付で551万人以上・・・。兵庫県の人口が560万人なので、12月には越えているかもしれない笑・・・。興行収入は80億円以上、80億を超えた実写映画では2013年の「永遠の0」以来だそうです。
ご登場願いましょう、樋口真嗣監督です!!
樋口:よろしくおねがいします。
吉田:樋口監督のプロフィールを簡単にご紹介させてください。今年の夏に公開された大ヒット「シン・ゴジラ」の監督、そして特殊技術撮影監督もされた・・・。1965年9月22日生まれ、19歳の頃に84年のゴジラで映画界に入られまして、平成ガメラシリーズ、僕が青春でガンとくるのはこれです。平成ガメラシリーズ三部作の特技監督を務められ、あのときガメラって本当にいたらこうなんだろうなって説得力を持って怪獣映画の印象が変わりました。そこから「ローレライ」「日本沈没」「隠し砦の三悪人」などで監督を務め、「のぼうの城」では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。最近では「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」も手がけられました。日本を代表する映画監督です!!
樋口:ありがとうございます。
吉田:まずいちばんはじめに聞きたいことなんですが、シン・ゴジラ、庵野秀明総監督ってドーンと出てるじゃないですか?で、ただこうパンフレットとかを読むと、樋口さんが先に「ゴジラ作りたい!」ってなって庵野さんを口説いたってなっているんですけど?
樋口:元々ね、やっていたんですけど「やっぱやりたくないなー」みたいになって、「もうやーめた」の「や」の字ぐらいまで言いかけたところで「やろうよ!」と俺が言ったみたいな・・・。
吉田:一回リング降りそうになったのをもっかいこう、降りんな降りんなっていう。
樋口:「俺がやるからやろう!」みたいな。
吉田:つまりこうお二人でほぼ二人三脚みたいな感じで?
樋口:そうですね、そういうところから始まって。そしたら途中でなんかこうカーッ!カーッ!みたいになってなんか暴走を始めたんで。
吉田:自分がゴジラ化してるってやつですね笑
松井:ハハハハハ笑
樋口:そうですねほぼ。
吉田:じゃあ樋口対策幕僚長としては、対策幕僚長がここで?
樋口:よし、もうこのまま行け!っていうね。
吉田:はぁー!それで最後まで作りきって、公開にこぎつけたわけですね?
樋口:そうですねぇ~。
吉田:いや、だとすると、まあ普通の映画で言うところの監督となんら変わり無いですよね?
樋口:ええ、でも庵野秀明という人間そのものがどう動くかっていう事がね、ゴジラかっていう。
吉田:完全に対策本部とおんなじこと考えてる笑
樋口:おんなじですねぇ~。
松井:ハハハハハ笑
樋口:対策本部なんですけど止めちゃいけないんで、対策本部は止めるじゃないですか?止めちゃいけないんですよ!かといって行き過ぎてもいけない!
松井:暴走をさせないように笑
吉田:あの、このルートを首都に進行するとしたら、このルートしか通しちゃいけないみたいな笑
樋口:「この道がいいと思うなぁ~!」みたいな笑。
吉田:なんかあるんですか?例えば対策としては庵野さんが好きな食べ物でなだめるとか?
樋口:そうですね。だから最後どうしようってなった時に「いややっぱこれ東京駅にしたら庵野さんの好きなほら、ここに沿線がいっぱいくるでしょ?」みたいなね笑。
吉田:4歳児ぐらいをあやしてる感じですよね笑。本当にそんなかんじだったんですか!
樋口:「電車がいっぱい~!」みたいな笑。
吉田:じゃあ「電車が出るなら俺そこに対しては言いたい事いっぱいあるよー」みたいな。
樋口:あと最初は羽田空港だったんですよ。あのー、第二形態が出てくるの。羽田空港を横切って品川に向かうはずだったんですけど。行ったらね、なんか、こう、平らな訳ですよ。
吉田:空港ですからね!笑
樋口:平らなんですよ!で、確かにD滑走路ってあそこだけ人口地盤で、庵野さんの大好きな、こうなんていうんですか・・・骨組みとかがビッシリあって。
松井:あぁ~!
樋口:あそこって埋立地じゃないんですよ!構造物なんですよ!それはね、大好物なんですけど、それ壊してっていうとそれだけじゃなー!ってなる訳ですよ。
吉田:壊しかたが物足りねえと!
樋口:で!俺としてはやっぱ蒲田に行かせたかったんですよ!
松井:蒲田・・!
樋口:なんだろこう、このまま行くとその、品川も普通の街なんで、近代的な街なんで。古い昭和の香りのするような、どっちかといえばなんかこう、生活感のある街にアイツを出したかったんですよね。
吉田:ゴジラが出てくるのが・・・。
樋口:第二形態ですよ・・・。
吉田:そっか、アイツって言ってもこの場合は第二形態を指すんだね!
樋口:第二形態はやっぱ最初はそういうところからってなった時に、庵野さんピクリともしないのよ。
吉田:え?なんでまた?
樋口:知らないもん。
吉田:あ、蒲田に馴染みが無いから?
樋口:全く無いんで。で、そういう時に「京急が走ってますよ」って言うと・・笑。
吉田&松井:ハハハハハ!笑
松井:電車好きなんですか?笑
樋口:「ここ京急あるから」みたいな笑。でも結果的には京急ほとんど出てこないんですけどそこではね笑。
松井:でも確かにその街並みに来た事によって、観てる人たちにグッとこうリアル感が生まれるというか、本当にゴジラが出て来て自分たちの街の中をこうやって行ってたら、こういう恐怖感があるんだろうなっていうのは、確かに蒲田だったからこそ味わえた感覚だったんだなーっての思いますね。
樋口:あとは俺がよく、ロケハンをよくしてたんで。夜のロケハンってやつを笑。
吉田:えー、蒲田っていうのは東京23区で人口辺りの飲み屋が一番多い地域とされています笑。
樋口:え!そうなの!?
吉田:そうなんです実は。あ?これメール?東京都のRN:プーマーさんからいただきました。
「庵野秀明さんはものづくりに関してとんでもなくこだわりの強い、特に特撮に関してはかなりのオタク気質を持っている方だと思うのですが・・」
それこそ『巨神兵東京に現る』とかね、あれをわざわざ特撮で作られたという話がありましたが。
(メール続き)『そんな庵野さんと、あのレベルの特撮を撮る中で大変な事はありましたか?』大変なことしか想像出来ないんですけど笑。
樋口:あのね、微妙にアレなんですよ。派閥が違うんですよ。
吉田:ありますよね!
樋口:あるでしょ!同じアニメ好きって言っても「アニメ好きなのお前ー!よっしゃアニメ好きー!」みたいになっても話してくと、あ、ちょっと違うなってあるじゃん?笑
松井:キャラ萌えとギンガマン萌えとか、そういう違いですよね笑。
吉田:鉄っちゃんで言うと松井さんは車両萌えですよね?でも駅寝が大好きとか言う人いるじゃないですか?駅で寝るのは別に興味無いでしょ?
松井:はい!無いです!
樋口:鉄道ファン派か鉄道ジャーナル派かみたいなね笑。
松井:はい!笑
吉田:え?それでいうと庵野さんと樋口さんっていうのはどんな感じなんですか?
樋口:庵野はね、あれなんですよ「人型」なんですよ。好きなのが。
吉田:人型?
樋口:特撮博物館ってやった時の、一番最後に自分の玩具(おもちゃ)並べてるコーナーがあったんですよね「感謝」っていう。
吉田:あーー!はい!はい!
樋口:そこに並んでるのはね、基本的に全部尻尾のないやつなんですよ。
吉田:はぁーーーー!
樋口:ウルトラマンだったり、みんな人型なんですよ。ヒーローだったり。で、結局ねえ、自分で作るやつも「アンビリカルケーブル」は出てるけど二本足で立つやつ。
吉田:巨神兵だしエヴァだしってことですよね?あ、そうか!
松井:庵野さんも自分で特撮撮ってましたよね?自分自身がウルトラマンみたいな格好して。
樋口:あ、よくご存知で・・・。
吉田:本気のオタクですからね松井さん笑。
樋口:本物ですね笑。
吉田:そうすると樋口は?
樋口:俺はね、尻尾(しっぽ)派なんですよ。
吉田:尻尾派!?
松井:そういうのがあるんだー!おもしろーい!
樋口:あの人(庵野監督)はね、本当ウルトラマンとか、いわゆるヒーロー、二本足で立ってる。で、人のように軽快に動くってやつが好きで。「尻尾引きずってるやつなんて感情移入出来ない!」っつって。
吉田:いや、まず感情移入する必要があるのかっていうのもあるんですけど笑。感情移入出来ないと?
樋口:「わからん!」って言って、最初は「俺わかんないから任せた!」って言ってるんですけど、途中で明らかに尻尾愛に目覚めるんですよ笑。
吉田:え?そうなんですか?
樋口:最初、竹谷さんっていう原型の方が・・。
吉田:竹谷隆之さんね!
樋口:尻尾ちょっとデカすぎるんで、作ってるやつが。尻尾と別々にやっててそれで「長めに作ってみましたけど」ってやって、俺「もっと長くしよう」って言ったら、最終的にやっぱね、おとっつぁん、我々(庵野監督を)おとっつぁんって呼んでるんですけど、おとっつぁん尻尾が気に入っちゃって、尻尾だけのカットってすごい多いじゃないですか?
吉田:多い!
松井:多かったです!
樋口:そのうえ、東宝に黙って、あれ東宝を騙してましたね笑。
吉田:え?
樋口:尻尾光線とか。
吉田&松井:えええっ!?
樋口:最初やって「いやそれはちょっと・・」って言われたんだけど、やっぱやろう!みたいになって、もう引き返せなくなるギリギリのラインってあるじゃないですか・・・もう初号というのをそろそろ完成させなきゃいけないという時に見せて「あっ!」つって、「まあいいか、ここまで来たら」っていうね笑・・・諦めさせたという・・・。
吉田:今回に関しては現場の人たちの、自分たちのフェチを入れこませるために、同時に大人の作戦も使われてますよね?
樋口:そうですねぇ~。
吉田:そんなかで、シン・ゴジラについて台東区谷中のRN:上京パンダさんからいただきました。
『子供の頃からゴジラが大好きで映画を楽しく観ました。やっぱりゴジラは怖くて強くてカッコいい・・』これ言い方すごいわかる!怖くて重要ですよね。『で、質問なのですが、樋口、あるいは庵野総監督がこれまでのゴジラに対してどうしても変えたかった点と、どうしても変えたくなかった点があれば教えてください。』
例えば僕はやっぱりみんなよく言ってますけど、ラブストーリーになんなきゃいいのになんなきゃいいのにーってずっと思って観て、なんなかったー!って思って観てたんですけど笑。そこにそういう、大作を作るんだったら恋愛要素を入れろみたいな話にきっとなると思うんですけど。
樋口:なりますね、ええ。
吉田:だけどそこも突っぱねたというか?
樋口:最初ね、ちょろちょろ入れてたんですけど。そういうのドンドン削っていったというか。
吉田:て言う事は、撮影したけれども編集して削って・・?
樋口:いえ、脚本の段階です。最初もっとこうした方がいいんじゃ無いかみたいなの多少入ってたりしたんですけど、それ全部削っていったというか・・・。あと親子の話とかね、恋愛だけじゃなくて・・・。
吉田:そういうのもう、分かりやすくは無いですよね?少なくとも・・・。
樋口:でもなんか分かりやすいじゃないですか?親子だとか。長谷川さん(=長谷川博己さん)のお父さんがあの人だったらしたら分かりやすいのにみたいな、で、途中で死んじゃってみたいな。そういう仕掛けも全部外して「僕は入れません!」みたいなね・・・。詳しくはもうじき出るね、あのー、『記録全集』みたいのが出るらしいので・・。
吉田:めっちゃ見たい!笑
樋口:それもねー、遅れてますからね!
吉田:あ、それを最終的にGO出すにはちゃんと監修が入んないといけないから!
樋口:いや、じゃなくて本当はね、予定では予約とか取ってるんですけど、最初はね、8月末とか9月頭だったのが、ズルズル遅れて、しかも俺、出版の事とかよくわかんないんですけど『束(つか)』って言うんですか・・・ページ数。
吉田:はいはい!
樋口:ページ数増やしたりするとダメなんですよね。台割りっていう台本みたいのがあって、台割り通りに作ってその中で調整するっていうのを、まあ、自分の会社で出すもんだから知ったこっちゃないって事でページ数がどんどん増えてって、もう皆さんお願いですから買ってください!!!
松井:ハハハハハ笑。
樋口:買わないと大変なことになっちゃうんで・・・笑
吉田:クオリティを上げる分リスクを取ってるっていう。
樋口:ええ、もうそこお構いなしです。いろんな局面で全部それなんで。
吉田:じゃあ今回のゴジラに関して、初めに庵野総監督と、もうツーカーなんだと思うんですけど、分かりやすい企画会議みたいのはされるんですか?
樋口:いやぁー・・・最初の頃ペロッとこう紙があって「こういうのやるからー」みたいなので見て。うわぁ、大変だこれは・・・。
吉田:一番初めのそのペラッには何が書いてあったんですか?
樋口:だから映画の要素が大体ありましたね。
吉田:原形はそこにあった?
樋口:そうですね。
吉田:その中で覚えてて、特に強く残ってることってなにかあります?
樋口:やっぱね、「進化」なんですよ。
吉田:進化!!
樋口:進化するっていう、つまり進化というか成長するじゃないですか・・・。今までだったら「じゃあ何と戦うの?」って散々言われるわけですよ。ゴジラやるんだ何と戦うのって。戦う相手ではなく、それがドンドン変わっていくっていうのがやっぱりね、すげぇって・・・。
すげぇけど全部作んなきゃいけないじゃん笑。敵怪獣よりも大変なわけですよ、数が多いから。敵怪獣だったら一体作ってそれで殴り合いさせればいいじゃないですか?雑な言い方ですけど。
松井:1対1で済みますもんね。
樋口:それがね、何段階にもっていうね。大変だったんですよ。
吉田&松井:ほぉ~~~!!
樋口:それで言うとね、もう良いか!・・あのさ、すいません言っちゃいますけど良いですか・・・?
あの、最後の「アレ」いるじゃないですか・・・観ていただいたら分かると思いますが・・・ラストカットの。
吉田:ああ!はいはい!もう、こうなってる状態ですよね?あの、ドーンと地に倒れちゃってる。
樋口:いやいやいや違う、最後の固まったあとに尻尾にある・・・。気付いてない・・・?
松井:尻尾?
吉田:誰か!今日、もう一度見たばっかりの!
(今日シン・ゴジラを観たばっかりのスタッフが吉田に耳打ち)
吉田:うん!尻尾の形が?人みたいになる?・・・確かにそれは一緒に観ていた10歳の娘が気付いていたんですよ。今思い出したけど。俺「え?そうだった?」みたいなの言ってたんですけど。
樋口:いや、俺もね、友達の娘10歳ぐらいの子がね「最初にボートに落ちた人でしょ?」って。
松井:ええぇ~~!!
樋口:私は多くは語りませんよこれ以上は・・・。
吉田:ええええええっっっっ!!!!!
松井:もっかい観たーーーいっっっ!!!!!
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