2017年4月現在の肩書は【株式会社ニッポン放送 ビジネス開発センターネクストビジネス戦略部副部長アナウンサー】!カルチャー情報サイト「yoppy」アイコン吉田尚記関連のあれこれをぎゅっと詰めました!

【独占連載】フジテレビの皆様を前に、吉田が語る「現代オタクの作法とタブー」 その③

1月22日金曜日朝にフジテレビで開催されたモーニングセミナー(講師:吉田尚記)。
題して、吉田尚記が語る「現代オタクの作法とタブー」。

コンテンツを作る「中の人たち」に向け、彼が語る今。
その模様を「yoppy」独占・連載でお届けしています。

3回目の今日は、「アイドルは、彼女じゃなくて娘として見られている」・・・・・というお話。

※講演の一部を記事にしております。全部を聴きたい方はページ下動画にて、配信中。

 

「ラブライブ」と「アイドルマスター」

意外に、こういうことを考えているオタクが、僕の後ろには山のようにいると思ってください。で、山のようにいるオタクの中では、(ボク、吉田は)割とまだ言語化するし、上の世代とアクセスするつもりがある人間だと思って頂ければ。「通訳」みたいなもんだと思ってください。

アイドルとアニメの成功例みたいなのをそれぞれ出すと、まずアニメの方でいうと、おそらく「ラブライブ」という作品は、皆さまほとんどが今やご存じだと思いますけど、「ラブライブ」はもともと雑誌の企画なんですよ。
雑誌の数ページの企画から始まってて、一番初めは本当に成功するとも誰も思ってなくて、初めに出したCDは数百枚しか売れてないんですよね。
で、数百枚しか売れてなかったんだけども、中にいる声優さんたちというのは、一部既に名があった方もいるんですけど、ほとんど名の無いところからスタートしてるんですね。
ほぼ全員が名がない所、作品がロケットスタートしてない状態だったので、ここに乗っていって、さらに物語の設定が「学校がなくなっちゃいそうなところの‘逆境’」からスタートして、どんどんうまく上がっていくっていうストーリー。
で、「みんなでつくるストーリー」って最初から言われていて、「初めからファンを巻き込む構造」が意図的たぶん7割くらいだと思うんですけど、でも3割くらいは想像を超えた世界で、それがくっついて、僕らアニメファン側の「殉じたい」・「パトロンとして投資したい」がずっと渦巻いている所に、「あぁ、この投資対象はいける」って強烈に思った「空気」がある時発生して、そこからドーンといったと。
まぁ、この前後に「アイドルマスター」っていう作品がもともとあって、これもまた大元は成功すると思われなかったところからムーブメントになって、5年から10年前にそのムーブメントが起きていると。そのムーブメントに乗り損ねた人達がいるんですね。その人たちがあれが楽しそうだと思って、自分たちの投資すべき対象がなんかないかなぁと思った時にラブライブが来て、ブレイクしたという側面が大きくあるんですね。
自分たちで育ててるから、中の人たちが一生懸命やっていることと、表でアニメが綺麗に出来ていることが大前提なんですけど、これとうまく一致して、ブレイクするという作品になりました。

ラブライブとか見てると、アイドルのアニメじゃないかと。で、アイドルのアニメなんだから、アイドルファンがそこにいるんじゃないかっていう風に思うかもしれませんが、現場にいるとわかるんですけど、ほぼいないっす「アイドルファン」。かなり少ない。
楽曲に魅かれて集まっているアイドルファンが一部いますが、あの作品の愛され方は完全にアニメファンが愛している愛し方。なので、今年も「TOKYO IDOL FESTIVAL2016」(2016年8月5日 ~7日、お台場・青海周辺エリアにて開催)とかあるじゃないですか。もうその時期だと東京ドーム(μ’s FinalLoveLive!」2016年3月31日・4月1日)後なんで物理的にムリなんですけど、「μ’s」を呼ぼうと、その「ラブライブ」にでてくるアイドルを呼ぼうとかいうことになると、間違いなくトラブルが起きます。なんにも考えなしにやったらトラブルが起きます。全く違う人種が集まることになるので。

 

アイドルは、彼女じゃなくて娘として見られている

一方で、アイドルの方だと、ここ数年の最大の成功例で言えば「ももいろクローバーZ」とか、そうなんですけど。ももいろクローバーZの場合は、とっても今のアイドルの愛され方が典型的に出たなぁっていう感じがしてまして、アイドルってそもそもが「彼女の代替品」というか、モテない男子たちが「すごいかわいい女の子たちを、仮想の彼女として扱う」みたいな気持ちがその昔はメインだった。それだったら理解しやすいですよね?でも、(ももいろクローバーZは)完全にゲームチェンジが起きたあとに表れたアイドルなんですね。
これも結構前からそういう文脈が出ていたんですけども、特にわかりやすく世間全体に共有された感ってのがあって、もうハロープロジェクトのですね「モーニング娘。」のあと、例えば「Berryz工房」・「℃-ute」あたりからもう10年コンテンツ(10年続いているコンテンツ)なんですけど、あのあたりからもう「アイドルは、彼女じゃなくて娘として見られている」状態なんですね。
現場にいくとわかるんですが、ほとんど今アイドル現場って10代・20代はいないに近いくらい、勢力で言うと30代・40代・50代までは当たり前です。で、60代もちらほらいるくらいの今年齢構成になってて、冷静に言うと、アニメだと一回当たったら10年(続くコンテンツ)ありえる話ですけど、アイドルだと10年(続くコンテンツ)があり得ないので、いわゆる「期間的に投資しなきゃいけない金額」も高いんですね。期間的に投資しなきゃいけない金額のあの高さからしても、10代・20代は乗っていけないんですよ。

アイドルはいつの間にか、彼女じゃなくて娘として愛されているようになっている状態なので、例えば、ももいろクローバーZの特徴的な活動で言うと「水着」がないんですね。やってないんじゃないかなぁ、1回も。
(対象として)彼女の場合は悪くないんだけど、娘の場合は「とんでもない」って感じになるんですよね。
だから、そういうアイドルファンからすると、「正直、水着とかホントにいらない!」。それよりも「天真爛漫でイキイキしてくれることの方が重要」っていうことになって。アイドルも「生身の人間」ですから、時にはスキャンダルがあったりするじゃないですか。で、昔は「彼女のスキャンダル」というのは「ある意味、痴話げんか」みたいなとり方もできるわけですよ。そんなことをしても、俺はお前が好きだよ!たまにはこっちを振り返れよ!みたいな話もあったんですけど。

もう、娘のスキャンダルの場合は、もう罰するしかないんですね(笑)アイドルファン側からすると。
お前そんなことしたけど、俺は許すよ!っていう風にはならない。
だから、現状の、いわゆる「リアルアイドル」のスキャンダルはほぼ致命傷で取り返しがつかない状態になってます。

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