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雑談ですが・・・

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根本宗子は語る。「もうそろそろ、これくらいやっても大丈夫ですよね?」みたいな感じの作品です。

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~大森靖子さん出演のねもしゅーせいこ『夏果て幸せの果て』に続き、今回はねもしゅーのおとぎ話『ファンファーレサーカス』として、プロデュース公演に携わることになりましたが。

うちの劇団は、座付きの制作がいるわけではないので、役者さんへのオファーやどこの劇場を借りるといったことも、基本的な決定権は全部自分にあります。
でも、プロデュース公演はそうじゃないですよね。ある意味、演劇だけのことを考えていられるのが一番違う。もちろんプロデュース公演だろうと劇団公演だろうと動員は気にするし、公演情報が届くように宣伝はしますけど、基本的には芝居を作る以外の仕事はしなくていい。
あとは、できることの幅が広がるところはあります。たとえば「フライングがやりたい」と言ったら用意してもらえる。スタッフさんもたくさんいるし、準備期間もたっぷりあるので、自分の劇団ではできないところまで要望が叶うところもある。

 

~前回は大森靖子さんとのコラボレーションでしたが、今回はおとぎ話が出演しますね。

『夏果て』の大森さんが弾き語りだったので、今度はバンドの人とやってみたくて。ミュージカルっぽいテイストも歌えそうで、曲の中にドラマティックな展開がある、おとぎ話さんにお願いして引き受けてもらうことができました。
『夏果て』はライブ演劇というか、演劇と大森さんのライブがくっついたようなテイストだったので「今度はそれを混ぜ合わせた音楽劇にできないかな」と思って、踊りもあるから趣里ちゃんに、という部分もあります。趣里ちゃんは大きな舞台から小劇場まで幅広く出演されていて、客観性をしっかり持っている本当に器用な方なので、物語の中を引っ張ってもらいつつ、切ない部分など細かい感情も表現してもらうとにかく忙しい役ですね。そして一番うまい役者さんなので、梨木さんともども要所を締めてもらいつつ、物語の切ない部分を表現してもらおうと。そして一番熱を秘めた人が、実は(蒼波)純ちゃんだったというところに持っていきたくて。だから今回は、新宿FACEという場所で、趣里ちゃんと純ちゃんとおとぎ話と役者全員とでできるものを作る感じかな。お客さんも、今言った人たちが観たい人が多いだろうし、そこにちょっとプロデュース公演ならではのお客さんがいる感じなんじゃないかと思っています。

 

~根本さんの頭の中には、観客比率の円グラフがあるんですね。

その比率が、前回は「大森さんのお客さんが初めて演劇を観る」ということがすごく大きかったんですよね。演劇初体験の人が大森さんを観に来てる。となるとやっぱり、大森さんをいっぱい出したほうがいいじゃないですか。
月刊「根本宗子」の公演だと、もちろん客演の方のお客様もいますが、劇団が持っているお客さんが主になるので、そこを対象に私のやりたいことをやるんですけど、この企画は少し違う。うちのお客さんとやはりアーティストの方とコラボすると演劇を初めて観る方が多いので、そこは前回同様、意識してます。だから今回もおとぎ話さんの見え方はすごく考えたし、なるべく劇中音楽はすべて生演奏してもらっている。結果すごい贅沢な舞台になりました。

 

~今回、劇中ではおとぎ話が演奏しますが、もともとある楽曲をストーリーの中に入れ込んで、世界観を作るわけですよね。

でも、そういう作り方は劇団でも意外とやってるんですよね。大森さんの曲を自分の劇団に使ったとき(『夢も希望もなく。』14年)も、劇中の女の子が「これ、私が作った曲」みたいな感じで曲をかけるシーンがあったし。あと、バー公演でも、3年くらい前までは曲に合わせて台詞を言うシーンを作っていたんですよ。作り方としてはそこに戻った感じです。
あと、自分が今まで観てきた舞台……、それこそ劇団☆新感線もそうだし、東宝ミュージカルとかも好きでずっと観てきたんですけど、ストレートプレイ以外の要素を演出に反映させる機会って、なかなかないじゃないですか。でも、今回の『ファンファーレサーカス』では、そういった要素もすごく生かされている感じがあります。

 

~これまでの作品を観ても、根本さんは構造を細かく意識しながら、台本を書かれているような印象があります。

そうですね。だから、月刊「根本宗子」の芝居でも、一場からめちゃめちゃ人が出てくるのはありえないんですよ。だいたい2、3人で始まって、暗転明けの次のシーンから、大きい声でずっとしゃべる人が出てくる。プロローグ部分はゆっくりお客さんに観てもらって、オモシロも含めて加速するのは二場から。そして、二場の終わりでなんとなくなにかを匂わされて、三場で動き出す。無意識なんですけど、たぶんそれは毎回同じなんです。あと、お客さんとして観ていたら、このぐらいのところで笑いがある台詞がこないと飽きちゃうーー自分の感覚的なものですけどーー、そういうことはすごく考えます。

 

~あと、メタ的な作品もたくさん書かれてますよね。たとえば『もっと超越した所へ。』(15年)のように、時間を逆行させて結末を変えるとか。

私自身はリアルな芝居も好きなんです。それこそ青年団みたいな芝居も嫌いじゃないし、観に行くし、好きな役者さんもいっぱいいる。でも、それは青年団がやってるし、誰もやってないところに行った結果が、今の作風につながったところはあります。
私はエネルギッシュな舞台も好きなんですけど、パワーだけの芝居だとちょっと引いちゃう人もいるじゃないですか。あと、自分が劇団を旗揚げた頃日常劇と言うか、THE SHAMPOO HATとかポツドールとかリアルな現代口語演劇がすごく流行ってて、そういう芝居に出たいという役者がとにかくたくさんいたんですよ。だからお互いそういう芝居をやった気にもなれるけど、でもエンタメみたいなのを追及した結果、やっぱり小屋が大きくなればエンターテイメント要素がないとダメだし、それこそ震災後自分がリアルとか見たくないってなったんで、だんだんにエンタメ要素のほうが増えてきました。エンタメの中にしっかりと人の感情が動いでいく。やっぱり誰 かの感情が動く瞬間が観たいじゃないですか、生の舞台なら。
そういう私の台本を、本当に理解してやってくれているのはたぶん、梨木さんですね。梨木さんはミステリーが好きで展開の面白さみたいなもの……、伏線の貼り方とかに、わりとこだわる人なので梨木さんが「あ、この展開がこうなるんだ。面白いね」と言っていると、「あぁ、そういうふうに見るんだな」って。あーぽんは梨木さんとは対照的ですね……、なに考えて芝居してるんだろう。

 

~あまり劇構造みたいなものに、興味を持つタイプではないですか?

本当に物語として、お客さんと同じ印象で本を読んでると思う。で、私の描くリアリティのある女子に一番ハマるのがあーぽんなんですよね。それは大竹さんもそう。大竹さんも冷静な一般的な30歳に見えるから。劇団ではこの4人で徐々にエネルギッシュな部分を増やしながら、お客さんに芝居を見せてきたと思うし、今回の『ファンファーレサーカス』が受け入れられる土台をこの3年で作れたと思う。だから「もうそろそろ、これくらいやっても大丈夫ですよね?」みたいな感じですね。
演劇作品の再演率って、高くはないじゃないですか。「面白かったから、もう1回観たい!」と思ってもらえても、今回は映像化されない可能性のほうが高い。しかも『ファンファーレサーカス』は、4日間しかやらない公演だから「もう1回観たい!」と思ったら、絶対もう一回観ておいたほうがいいんですよ(笑)。たぶんこの作品は1回では見切れないし。演出していても、舞台が広いこともあって、1回だけでは全員を把握しきれないことが多いですから。
私には「もう1回観たい」以外の演劇の正解がないし、今も自分が観たい芝居をいつも作ってます。で、本当は客席で観たいんです。やっているんじゃなくて(笑)。この『ファンファーレサーカス』も、何回観ても面白いものになると思うので、ご覧になる方には、何度でも足を運んでいただけたらうれしいです。

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ねもしゅーのおとぎ話『ファンファーレサーカス』
明日、2016年2月14日(日)まで新宿FACEで上演中!

(インタビュアー:小杉厚)