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本格雑談 くちをひらく

アナウンサー・吉田尚記と声優・中村繪里子の”雑談イベント”を開催!その名も 「本格雑談 くちをひらく」!とにかく口を開かずにはいられない二人が、ゲストを交えて、どこに向かうかわからない、どう転ぶかわからない、神変出没の本格雑談を繰り広げます!

辞書に載っている言葉の意味は、全員が共通了解として持っていないといけない、1番最初の物語

【「本格雑談 くちをひらく」第1回 ライブレポート②】

アナウンサー・吉田尚記と声優・中村繪里子。とにかく口を開かずにいられない、2人がゲストを交え本気の雑談をお送りするトークライブ「本格雑談 くちをひらく」。先月、第1回が開催されました。記念すべき初めてのゲストは作家・冲方丁。

アナウンサー、声優、作家の紡ぐ二転三転トークイベントの様子をお届けしています。

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吉田:中村繪里子さんは東京ドームの真ん中で唄って踊っていたりする、そこも凄いんですが、それは中村繪里子の一側面でしかないと思うんです。僕は、なんとかして中村さんの異常な才能を皆に伝えたいと思ってイベントにしたんですよ。

中村:ありがとうございます!

吉田:でもこのまま話してるだけだと、瀬戸内寂聴みたいな世界に行っちゃうんですよね。

中村:あっ!私、声優の中原麻衣ちゃんに、瀬戸内寂聴って呼ばれた事ある!

吉田:あるの!?どういう意味で?

中村:話をしてると何か吸い取られるって。

吉田:あははは(笑)

中村:それで、聞いてるとなんとなく「そうかも」って思わされる、悟りが開けるような感じがするって。

吉田:僕、瀬戸内寂聴さんの説法ライブ行った事あるんですけど・・・確かに中村さんと寂聴さん、近いね。

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吉田:僕達がこのまま喋ってると、テンポも早いし楽しいんですけど、実質が無いんですよ。だから、実質を足してくれる方をゲストにお招きいたしました。作家・冲方丁さんです。

冲方:どうも、冲方丁です。

吉田:先日、冲方さんの出された『偶然を生きる』という本を読んだんですが、よく「物語は人生を豊かにする」って言いますよね?それで普通はなんとなく納得して読み進めるんだけど、この本は、これこれこういう理由で物語は人生を豊かにするってところまで書いてあったんです。

中村:うんうん。

吉田:そこで冲方さんにとっての物語というものを順を追って聞いていきたいんですが、冲方さんも子供の頃は桃太郎とか読んで育ったんですか?

中村:そもそも日本語圏だったんですか?

冲方:いや、気がついたら東南アジアにいました。

吉田:何が起きたらそうなるんですか!?

冲方:父親がエンジニアだったので、ODAとかで海外にしょっちゅう飛んでたんですよ。授業参観の日に「お父さん、どこに居るの?」って聞くと、母親が地球儀を持ってきて「このへん」って。

中村:宇宙海賊ゴー☆ジャスじゃん!

冲方:それである日、母親も「日本にいるの飽きた」って言って、その日のうちにシンガポールに行っちゃったの。

吉田&中村:えーー!

冲方:そういう親だったんで、接する物語もめちゃくちゃでしたね。物心ついた時に、手元にある日本語が和英辞典しかなかったんです。

中村:あははは(笑)

冲方:だから、ずっと辞書読んでたんです。

中村:わかる!

吉田:わかんねえよ!

冲方:辞書好きの人ってたまにいるんですよ。

中村:私は三省堂の辞書が1番好きです!

吉田:わかんないって!

冲方:まあそれで、言葉と言葉の繋がりを読んで類推するようになるんですよ。

吉田:それは何歳くらいの頃だったんですか?

冲方:7、8歳くらいでしたね。

吉田:7、8歳で?

冲方:本当に娯楽が無かったですから。テレビも無かったですし、少年ジャンプを1冊取り寄せるのに8000円くらいかかるし。

吉田&中村:えーー!

冲方:とにかく娯楽が無かったので、いろんな物に自分の物語を投影して、1個1個の単語の中にドラマを感じたりしてたんですよ。

吉田:好きな単語とかあったんですか?

冲方:子供心に好きな単語に丸を付けてたんですよ。「マシンガン」とかね。

吉田:あははは(笑)なるほどー!

冲方:ギリシャ神話関連の単語に全部丸が付いていて。小学生ながらに、やたらギリシャ神話に詳しくなったりね。

吉田:僕達だと聖闘士星矢とかで知るんですが、自分で聖闘士星矢を連載してたようなものですね。でも辞書って、もともとは強烈に物語の無い本じゃないですか?

冲方:でも辞書に載っている言葉の意味というものは、全員が共通了解として持っていないといけない、1番最初の物語なんですよ。

中村:ルールみたいなものですね。

冲方:例えば「面白い」という単語、昔は「面黒い」という言い方もあったんです。それがだんだん、片方だけになっていった。そこには時代的背景があるんです。

中村:うんうん。

冲方:ちなみに昔の辞書には「少年」はあったけど「少女」という単語は載ってなかったんです。

中村:えっ!なんでですか?

冲方:「少女」自体は平安時代の舞を踊る人であったんですが、「少女期」というのは、その後のエンターテイメントが創りだしたものなんです。結果的に、それが辞書に反映されていく。つまり、大多数の同意を得られた言葉の集積が、辞書なんです。

中村:例えば、辞書では赤信号に「渡ってはならない」と書いてあるのは、みんながそう認識しているから。ある日、赤信号に違うルールが付与されて認識されたら、赤信号の物語が変わりますよね?

冲方:あとわかりやすいのは、ギリシャ人は「YES」の時に首を横に振って、「NO」の時に首を縦に振るんです(日本と逆)。そういった意味を蓄積して、掛けあわせたものが高度に作られた物語なんですね。